この町で

五月の連休は 名古屋の息子の所に行ってきました
今日の名古屋駅は 本当にヒトヒトでした
あんなにヒトが多い名古屋駅は見たことがありません
連休は都会へとヒトの波が変わったようです
でも あの群れから離れて武生に着いて
がらがらの 人っ子一人もいない市役所前の道から
夕闇に沈む総社の灯 鬼ヶ岳の稜線を見ていると なにかホッとしました
この町で頑張ろう と ふと 思いました
僕はやっぱりこの町が好きなのです
歯抜けで がらがらの 寂れた町ですが
残りの人生 職人をしながら 美しい詩や童話を書いて
町の人々のためになにか少しでも役に立つよう頑張って
あと少しの学校の仕事も 
生徒達やみんなのために やっぱりやれるだけやろう
頑張ろう と 帰り道 誰もいない町中を歩きながら思いました
思えば 今日はクックちゃんの三周忌です
あんなに理想に燃えた 明るかった先輩が
十八年間も癌と闘って死んだ日なのです
彼女の悲しみや生きざま さだめや一生を思うと
まだまだ僕など甘いのです
この町で
生活即仏性
こころは常にロマン・ロランを目指すのです
(詩集・・・「明日のまほろば」より)

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